小児矯正
小児矯正とは、永久歯がまだ生えそろっていない成長期に行う歯並びを整える治療方法です。この治療では、あごの成長を利用して上下のあごのバランスを整えたり、将来的に歯が並ぶスペースを確保するためにあごを拡げたりすることがあります。
5才ぐらいからお子さんのかみ合わせはチェックしてください。
特に反対のかみ合わせは早目の対応が重要です。
小児矯正には大きく分けて2つの段階があります。それが「第Ⅰ期矯正治療」と「第Ⅱ期矯正治療」です。大人の「成人矯正治療」は成長期を終えているため、主に歯並びを整えることに焦点を当てます。一方で、小児矯正は成長期を利用して、将来的に歯が美しく並ぶための基盤を作ることが目的です。
歯並びだけでなく、いびきや鼻詰まりも改善
小児矯正は、顎の未発達による様々な諸症状を改善するための治療法です。
未発達の上顎は、鼻呼吸を妨げることがあります。その結果、口呼吸になり、舌の位置が下方へ落ち込み、前歯を押すような状態になります。これによって出っ歯や歯並びの悪化、噛み合わせの問題が引き起こされます。矯正治療によって、上顎の骨を広げることができ、鼻孔や気道を確保し、健全な鼻呼吸へ導くことができます。正しい呼吸をすることで、鼻づまりやいびきの改善だけでなく、ぜんそくやアレルギー症状の軽減にも効果があります。
また、上顎が広がり、鼻呼吸ができるようになると、滑舌や咀嚼機能の改善にも効果が期待できます。矯正治療によって顎全体のバランスが整い、正常な顎を維持することで、美しい歯並びだけでなく、体の健全な機能発育をサポートします。
小児矯正を
おこなうメリット
むし歯・歯周病・顎関節症リスクの低下
歯がデコボコして生えている場合、ブラッシングが難しくなります。このような場合、磨き残しが増え、細菌が繁殖する原因になります。結果として、歯石がつきやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。しかし、歯並びが整うと、歯ブラシでお口の汚れを取り除きやすくなり、清潔な口腔環境を維持できるようになります。
発音が良くなる・笑顔に自信が持てる
歯並びが悪いと、特定の音の発音が難しくなることがあります。また、受け口や出っ歯、前歯にすき間がある場合、見た目のコンプレックスも生じるかもしれません。しかし、矯正治療を受けることで、歯並びが整い、正しく発音できるようになり、自信を持って笑顔でコミュニケーションを取ることができるでしょう。
鼻づまり・喘息が改善され、鼻呼吸になる
上顎の成長が遅いと、鼻腔が狭くなり、鼻呼吸ができず口呼吸になりがちです。しかし、治療を受けることで、鼻腔が広がり、鼻づまりやいびきの予防になります。さらに、口呼吸から鼻呼吸になることで、味覚や嗅覚も正常に機能するようになります。
睡眠障害・いびき・昼間の眠気の改善
下顎が小さい場合、寝るときに下顎が後ろに下がり、喉や気道を塞ぐことがあります。また、睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群のリスクも高まります。しかし、矯正装置によって咬み合わせのバランスが整うことで、睡眠中も正常な呼吸ができるようになり、さまざまな睡眠関連の問題が改善されます。
肩凝りの改善・姿勢が良くなる
歯並びの乱れは、首や肩の筋肉に負担をかけ、肩こりや頭痛の原因になることがあります。しかし、治療を通じて筋肉への負担が軽減され、姿勢が改善されます。
消化器系内臓への悪影響がなくなる
咬み合わせが正しくないと、食べ物を十分に噛むことが困難になり、消化不良を引き起こす可能性があります。これにより、胃や腸などの消化器系内臓に負担がかかり、健康に悪影響を及ぼすことがあります。さらに、食べ物から必要な栄養を摂取できない恐れもあり、お子さんの健やかな成長を妨げるリスクが高まります。そのため、早期に矯正治療を受けることで、正しい咬み合わせを取り戻し、消化器系内臓にかかる負担を軽減することが重要です。
成長に合わせた歯を
抜かない矯正(非抜歯矯正)
歯並びは本来、しっかりと整列するように設計されています。しかし、顎の成長が適切でない場合、歯が正しい位置に収まりにくくなります。当院では、お子さんの骨格成長を促進して、永久歯の生えてくるスペースを確保する負担の少ない小児矯正治療を行っています。通常、歯が本来の位置に収まらずに抜歯が必要になる背景には、お子さんの生活習慣や習慣が影響していることがあります。当院では、生活習慣の改善を含めて、抜歯をしない「非抜歯矯正治療」を行っています。
小児矯正装置の種類
インビザライン・ファースト
「インビザライン・ファースト」は、子ども向けに特別に設計されたマウスピース型の矯正装置です。従来のマウスピース型矯正装置は永久歯が生えそろった後に使用されるものでしたが、「インビザライン・ファースト」は、永久歯が完全に生えそろう前の混合歯列期前期から使用できるようになっています。
この装置は革新的な技術を利用しており、成長過程にある子どもたちの歯列矯正をサポートすることを目的としています。これにより、歯並びや噛み合わせの問題を早期に解決し、将来的な歯の健康を促進することが期待されています。
インビザライン・ファーストは、子どもたちの生活に配慮した設計や、矯正装置を目立たなくする透明性などが挙げられます。これにより、装置をつけていることが気にならず、普段の生活を快適に送ることができます。
メリット
- 2期治療がより短期間かつ簡単に行える
- 咬み合わせの問題を予防し、悪化を防ぐことができる
- 指しゃぶりや舌の突出癖などの習慣を改善するのをサポート
- 治療中も好きなものを食べることができる
- 普段通りの歯磨きで口内を衛生的に保つことができる
- スポーツや楽器演奏も普段通りに楽しむことができる
プレオルソ
プレオルソは、小児向けの予防矯正法であり、上下一体のマウスピース装置を用います。永久歯が生え揃う前に開始することで、口周りの筋肉や舌を鍛え、健康的な歯並びと口元を目指します。この方法は、一般的な針金を使用した本格的な矯正治療の前に試すことができ、治療期間の短縮や費用の削減、歯の抜歯を回避するなどの利点があります。
将来的に本格的な矯正治療を行う場合でも、後戻りのリスクを軽減することができます。さらに、口呼吸から鼻呼吸への切り替えを促す効果も期待されます。装着時間は家にいる間の1時間と寝ている間で十分であり、お子さんの負担も少なく抑えられます。
6才~10才くらいのお子さんが対象
6歳~10歳のお子さんが対象の歯並び矯正法であるプレオルソは、永久歯に生え変わっていない時期に使用することで、大きな効果が期待できます。マウスピースを装着し、口周りの筋肉と舌を鍛えることで、歯並びや顎の発達に良い影響を与え、歯並びを改善します。
お子さんへの負担が少ない
柔らかい素材のマウスピース式なので、固定式装置のような違和感や痛みがほとんどありません。また、装着時間は日中の1時間と寝ている間のみで、食事の際は装置を外すことができます。これにより、食事の際にも装置を外して食べることができ、物が詰まることや虫歯の心配がありません。
簡単に外すことができる
プレオルソは、固定式装置と異なり、簡単に自身で取り外すことができます。食事の際も簡単に外せるため、歯磨きもしやすく、むし歯の心配もありません。
「お口ポカン」口呼吸を鼻呼吸へ促す
プレオルソは、マウスピースを装着して口周りの筋肉や舌のトレーニングを行い、咬み合わせや歯並びを改善し、正しい歯列に導きます。同時に、舌の位置や口呼吸などの筋機能癖も改善し、口呼吸から鼻呼吸へと促進します。
拡大床
拡大床矯正は、上顎を広げて歯が適切に生えるスペースを確保する治療法です。別名を「急速拡大装置」とも呼ばれ、主にお子さんの歯並びを整えるために使われます。この治療法は、顎の成長を促進することに焦点を当てており、直接的に歯並びを整えるものではありません。
現代の食事が柔らかい食べ物が主流となっていることから、噛む力や顎の発達が不十分な状態になることがあります。顎の未発達によって歯が生えるスペースが足りず、歯並びが乱れることも少なくありません。そこで拡大床矯正は、お子さんの顎の成長を促し、永久歯の生えるスペースを確保する役割を果たします。
本格矯正
子どもの本格矯正は、通常は永久歯が生えそろった11~18歳頃から適応されます。この時期は顎の成長曲線がゆるやかになる時期であり、顎の成長をコントロールするⅠ期治療が終了し、顎の大きさがほぼ大人に近くなっています。
Ⅱ期に入る11~18歳頃は、多感な時期であり、学業や部活動などが忙しくなることもあります。そのため、矯正治療を後回しにするケースも見られますが、小さいころの方が歯は動きやすく、治療期間も短くて済みます。そのため、早めに治療を開始することで、より効果的に歯並びを整えることができます。